多くの方が苦しみからの解放を求めて私のセラピーを受けて下さいます。中には悟れば苦しみがなくなると思っている方もおられるようですが、悟れば(全体性を思い出せば、世界の空性を思い出せば)すべての問題が突然消えたり、いきなり楽ちんになってしまうわけではありません。苦しみからの解放のためには人間としての未解決の問題にきちんと向き合って、それを癒していく必要があります。
悟りの体験、ある種の一瞥体験をすると、自分の問題はなんら私個人的なものではない、とわかることで、その問題に向き合いやすくなりますが、その体験自体は真の癒しと解放へのスタート地点にしかすぎないのです。
とはいえ、癒しと悟りは別のものではありません。それは一つに繋がった連続したプロセスです。
人生の苦しみは、もともと自分と自分以外には境界線はなく世界全体が自分なのに、この世界というゲームを楽しむために作った仮の境界線をリアルなものだと勘違いしてしまうことから生まれます。自分の一部を自分ではないものとして自分から切り離し、無意識の領域に閉じ込めて、なかったことにしてしまうのです。具体的に言えば、それは一般的に否定的なものだと考えられている性質を持った自分の一部、怒り、悲しみ、暴力、狂気、セクシャリティなどであることが多いです。
癒しと悟りのプロセスとは、その切り離してしまった部分をもう一度自分に取り戻していく作業のことです。もちろん、そういった部分をそのまま表現することが必要なわけではありません。ただ、自分の中にもある、と認めればいいのです。すると、自分と自分以外を分けている境界線が緩んできます。すべてが私だったのだ、ということを思い出していきます。
見たくないから無意識に抑圧しているのですから、多くの場合、それをもう一度自分に取り戻していくプロセスは苦しいものになります。そのため人はその切り離してしまった部分を自分の外側に映し出し、他者や社会に問題があると考えてしまいます。
以前の私は、そんなことをしていてはいつまでも癒されないし目覚められないよ、という感じで、そうしてしまうことを否定的にとらえていたような気がします。苦しいけれど頑張って自分の無意識としっかり向き合っていくことこそがよいことだと考えていたのです。
数年前に亡くなったセラピストの吉福伸逸さんはその著書の中で「セラピーとは悪魔的なものだ」と語っていました。その人の見たくないものに直面させようとするからです。以前の私のセラピーはその言葉通り、どこか無理やりにでも直面を促し、そうすることでその人を変えていこう、気づかせていこう、という傾向が強かったような気がします。でも今思えば、そうやって強く直面させようとしていたのは自分自身がしっかり直面できていなかったことの裏返しだったな、という気がします。
ほとんど動けなかったほどの腰痛から回復していくプロセスの中で、生まれてこのかた50年間にわたって私の心の奥に閉じ込められていた痛みや苦しみのエネルギーがとめどなく溢れてくる体験をしました。そんな自分のプロセスを見るにつけ、切り離してきた自分の側面にどんなに一生懸命直面しようとしても、受け止める準備ができていないときにはそれに触れていくことは不可能なのだな、と痛感しました。
それに、不用意にそこに触れてしまうと、一時的にせよさらに苦しみが大きくなって、日常生活が困難になってしまうことさえあります。自分の問題を外の世界に映し出して外側の問題だと考えてしまうという心の働きは、そうすることで宇宙が自分を守ってくれている、とても大切なことなのだとわかりました。
とはいえ、時がくれば意識の光は自然と心の一番深いところまで届き始めます。さまざまな形で見ないようにしていたエネルギーが意識の表面に浮上してくるときがあるのです。
そんなときセラピストしての私ができることは、閉じ込めていたそのエネルギーが自然と浮上してくることのできる空間、スペースを提供することです。その人に起こっているプロセスをできるだけ邪魔することなく、そのプロセスが自然に展開できるようにお手伝いをすること。その人が感じていることをそのまま感じられるようにサポートすること。
もう少し具体的に言えば、ブレスワークなら、そのとき自然に起こっている呼吸のパターンに沿って一緒に呼吸をしたり、ヒプノセラピーなら、そのとき浮かんでいるイメージをさらに拡げられるような質問をしたりします。
本当は何の問題もないのだ、誰もが今そのままの姿で許され愛されているのだ、とわかりながら、苦しんでいる人と一緒にいるとき、もっとも深い癒しが起こることが多いようです。
同じように、この世界には何の問題もないと分かった時にこそ、世界を改善しようとする試みは一番効果的なのかもしれない、そんなことを思います。
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